3/6 午後:先立つ不幸をお許し下さい……


はい、そういうわけでいよいよ午後のお話です。

午後は名古屋の某百貨店で北海道大物産展がやっているということで、父親と一緒に行くこ
とになりました。

まぁ、私は車の免許を取ってから日も浅いし、それに元々運転が下手なようで、正直な話、一
人で運転したら確実に事故る、と両親と自分は確信しています。
だから両親は「親と一緒に車に乗るときは運転してもいい」と言うわけで……



「なぁ、運転してみるか?」

という父親の一言で名古屋の市街地のド真ん中を運転することになりました。


まぁ、俗に言われますよね。

曰く、




名古屋ナンバーと三河ナンバーの車に気をつけろ。


こんな感じで。

愛知県のドライバーのタチが悪いことは有名なんですけど、まさか……






自分がそれを体験するとは夢にも思いませんでした。




正直な話、









間違いなく私は死ぬと確信しました。

いやマジで……。



まずですね、普通、交差点って前が詰まっていたら自分は交差点の手前で待つものじゃない
ですか?
だってそうですよね、交差点の真ん中まで突っ込んでそこで信号が変わったら、交差点を塞
いでしまう上に、交差する交通に対して邪魔になりますから。


そういう風に自動車学校で習うはずです。


だけど、
そんな常識はココ名古屋では通じません。


普通に突っ込みます。

どれだけ交差する交通の妨害となろうとも、信号が赤に変わる寸前であろうとも、絶対に突っ
込みます。



それで私が、前の交差点が塞がっていたので手前の信号下の停車ラインで待っていると父
親が言いました。




「何をしている、早く前に進め」


あの……親父殿、前が塞がっていて、このまま突っ込むと確実に交差点のド真ん中で止まっ
てしまうのですけど……。





「構わん、だから前に進め」



しかも信号がもう黄色なんですけど……。





「気にするな、だから進め」


あのぉ〜黄色って基本的に進んではいけないと自動車学校で習ったのですけど……。




「貴様、何をバカなことを言っている。青は進め、黄色は
急いで進め、赤は気をつけ
て進め
と言うではないか」


言わねぇよ。


アンタ、そんなことばっかやっているから免停を喰らう一歩寸前なんて状態になるんだよ。



まだまだ、こんなこと序の口です。

市街地のド真ん中、名古屋駅周辺や繁華街の栄周辺というのは基本的に渋滞が起きてあま
りスピードが出ることはないのですけど、少し郊外に出た幹線道路ではスピードは基本的に時
速60キロ超。
……ってか、普通に80出して運転してました、私の父親。
子供のころは何とも思わないのですけど、こうやって自分で運転する立場となるとンな無茶苦
茶なスピード出せませんよ。
だって、50キロ制限の道路ですよ?
それに片側3車線とか4車線の道路。
もう周囲はトンでもないスピードで走っています。
それで私が50キロギリギリで運転しているとですね、



「何をしている。もっとスピードを上げろ」


だから、ここ50キロ制限の道路だってば。





「構わん、だからスピードを上げろ」


アンタ、この前スピード違反で捕まっただろ。
だから捕まるんだよ、アンタは。




「おのれぇ……池田公園前交番の巡査め。今度という今度は
逃げ切ってみせるからな」

……こういう大人が多いから日本から交通事故はなくならないのですね。


まぁ、そんな感じで運転中でした。
一瞬わき見をして、前を見たら目の前の信号は黄色から赤に変わる寸前。
たまらず私は急ブレーキ。

うわ、急ブレーキって凄い音が出ますね……。


「……おい、何で止まる」


だって目の前の信号が赤に変わる寸前だろうが。



「だからさっきから言っているだろうが。青は進め、黄色は
急いで進め赤は(以下
強制省略


チェストォォォォォ!!!


鉄拳制裁、こめかみに命中。


「……痛いじゃないか」


黙れ、そして日本の交通事情のために捕まってくれ。


……もう限界です。
ここからは父親に運転を代わってもらいました。



うわぁ〜……これまた凄い運転。
一般道で100キロって出せるんだぁ〜。
おぉ、となりの車線の車はそんな私たちの車を追い抜いていったぞぉ〜。


「やろぉ、GTなんぞが調子に乗りおって……」

おい、いい歳こいてムキになるなよ……。

ブゥゥゥゥゥン!!(一気にエンジンの回転数が跳ね上がる



速度、時速100キロ超。
捕まったら、一発で
免許取り消しですね。


それで交差点突入。
信号は

交差してる信号は青に変わり、目の前の横断歩道の信号は青に変わって……。



「おいアンタ、横断歩道に歩行者がいるぞ!」


まぁ、このまま行ったら確実に人を撥ねますね。
100キロ超の車と衝突するわけですから、確実に死にます。



「チィ!」


何だよ、今の舌打ちは!!


急ブレーキ。
横断歩道の手前で停止。

その傍ら、目の前のGTは止まることなく、歩行者のすぐ横をすり抜けていきました。

「クソ!」

アンタ、何を悔しがっているんだよ……。


頼む、父親が人を殺す前に捕まえてくれ……。


……とりあえず、安全運転を心がけます。
くれぐれも、交通法規は守りましょう。


正直、車運転するのが怖くなったのですけど……。



追伸。
その後の北海道大物産展ですが、父親が財布を忘れたため、全て私がお金を払いました。
カニ味噌やらラーメンやら、計5899円(税込み)。
ちなみに、まだお金は返してもらっていません。


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